●原発問題と政治(北海道)

北海道電力泊原発3号機に関して、国に出した質問状の回答がないのに、営業運転再開に向けた指示を国が出したことに不快感を示していた高橋はるみ北海道知事(元経産官僚)。要は、国と地方のパワーポリティクス、法律解釈など、手続き論に終始する“官僚脳”しか持っていないということを示しているだけだ。
 泊原発3号機、来週にも再開容認 道知事「時間かけない」(08/12 17:15)北海道新聞

 北海道の高橋はるみ知事は12日の記者会見で、定期検査で調整運転中の北海道電力泊原発3号機(泊村)の営業運転再開に対する道の判断について「ゆっくりと時間をかける性格のものではない。お盆休みは関係ない」と強調した。来週にも再開を容認する見通し。
 原子力安全委員会経済産業省原子力安全・保安院の最終検査をチェックする形を取った政府対応に関しては「法的根拠はないが、官邸の強い思いの下で行われたのは評価する」と述べた。
 道は、営業運転再開をめぐり道議会や地元4町村の意向を確認中。道議会は、原発問題を話し合う特別委員会を週明けに開催する方向で検討している。

 原発問題の本質である「核分裂」のもたらす影響から目をそらす高橋知事のこの姿勢は“尊敬”に値する。泊原発を揺らすM7.7クラスの地震の可能性を示す調査結果*1の声には耳を塞いで聞こえぬフリをする。政治はこれぐらいの度量がないとできないのかも知れぬが、しかし、こういう手合いが、何か起きると「想定外」をエクスキューズに逃げる。そんなことは当たり前だ。誰も未来を100%の確率で想定することなどできるわけがない。ならば、起きうる“事故”がもたらすリスクを可能な限り少なくすることを考えるのが政治の筋だろう。科学の仕事の最も重要な役割というのも、まさにそれに尽きるのではないか、と私は思う。
参考として、文科省地震調査研究推進本部が平成17年4月で出した報告書では、この黒松内低地層帯を震源域とする地震規模をM7.3程度以上と予測している。*2


 *1 朝日新聞道内版(2011/8月13日)では、“泊原発近くの「黒松内低地層帯」 北電見解より大規模 産総研など調査”との見出し、8段抜きでM7.5級がいつ起きてもおかしくない、との産総研活断層地震研究センター杉山雄一主幹研究員の指摘を記事にしている。この黒松内低地層帯の長さを北海道電力が想定している規模より長く、太平洋につながる内浦湾(噴火湾)まで伸びている可能性があり、その南西側にある八雲断層帯と連なっている可能性も否定できないことから、断層帯の長さが約55キロに及ぶとも推測できるという。その場合に推定される地震規模はM7.7となる、という。
 *2 http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/katsudanso/f007_kuromatsunai-teichi.htm

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