●「公文書管理法」が成立 2009年6月24日

■日経

公文書管理法が成立
 中央省庁などの公文書の作成・保存に共通ルールを定める公文書管理法が24日午前の参院本会議で全会一致で可決、成立した。各省庁ごとに違っていた公文書の管理方法を統一し、歴史資料として重要な公文書は原則として国立公文書館に移管。与野党の共同修正で、公文書の廃棄には首相の同意を必要としたほか、政策決定の過程を検証できるような文書の作成も盛り込んだ。
 同法は公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置づけ、主権者である国民が「主体的に利用し得る」とした。民主党が主張していた公文書管理庁の設置は見送られた。
 法制定には、社会保険庁年金記録問題などで明らかになった文書のずさんな管理に歯止めをかける狙いがある。(13:02)

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20090624AT3S2302P24062009.html

時事通信

公文書管理法が成立=作成・保存に統一ルール
 省庁ごとに管理方法が異なっている公文書の作成や保存に関して統一ルールを定めた公文書管理法が24日午前の参院本会議で全会一致で可決され、成立した。各公文書には、政令に基づいて保存期間を設定した上で、期間が満了した文書を廃棄する場合は、担当閣僚が首相と事前協議し、同意を得ることを義務付けた。2011年4月から施行される見込み。 
 同法は、薬害肝炎の症例リストの放置や、年金記録漏れなど、省庁によるずさんな文書管理が表面化したことを受けて福田康夫前首相が法制化の意向を表明。政府案が今年3月に提出され、与野党が修正協議を重ねてきた。
 同法は、公文書について「国民共有の知的資源」と明記。歴史的に重要な公文書は国立公文書館に移管し、永久保存すると規定した。与野党の修正協議の過程で、民主党が主張していた「公文書管理庁」設置は見送られたが、公文書の管理を担当する機関の在り方などを検討するため、施行後5年をめどとする見直し規定も盛り込んだ。(2009/06/24-10:32)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009062400055

■読売 

公文書管理
 法律はできたが課題も多い(6月25日付・読売社説) 諸外国と比べ不備が目立つ公文書館制度が根本から改められる。 行政にかかわる文書の作成、管理から国立公文書館への移管までの手続きを包括的に定めた公文書管理法が成立した。2011年4月から施行される見込みだ。
 政策決定の過程を伝える文書を着実に保存し、国民に対し説明責任を果たすことは、民主主義国家として当然の責務である。
 公文書は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」であり、「国民が主体的に利用し得るものである」ことが法律に明記された。
 法の趣旨を踏まえ、公文書の保存・管理を着実に進めていかなければならない。
 省庁が行政文書を保存する期間は1年から最長30年で、最終年度に、廃棄か、国立公文書館に移管か、保存期限を延長するかが各省庁の主導で決められてきた。
 管理体制もずさんで、海上自衛隊の航海日誌が保存期限前に破棄されたり、厚生労働省の薬害肝炎の症例リストが倉庫に放置されたりする問題もおきている。
 新法では、廃棄には首相の同意が必要なことや、歴史資料として重要な行政文書は原則として国立公文書館に移管されることなどが定められた。
 政府が提案したこの法律では、国会と裁判所の文書については対象外とされた。
 昨年11月に政府の有識者会議がまとめた報告書は、国会と裁判所の文書の国立公文書館への移管を促進することを求めている。そのため、国立公文書館を現在の独立行政法人から「特別の法人」に改組するよう提言した。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090624-OYT1T01138.htm

共同通信

公文書管理法が成立 廃棄に首相同意を明記
 公文書の管理、保存体制強化に向けた公文書管理法は24日午前の参院本会議で全会一致で可決、成立した。年金記録紛失に象徴される官公庁のずさんな文書管理に歯止めをかけるのが目的。与野党の修正合意で文書廃棄には首相の同意を必要としたほか、政策決定過程を検証できるような文書の作成を規定した。
 公文書管理法は公文書を「国民共有の知的資源」と定義。公文書に対する役所側の説明責任を明記し、国民が主体的に利用できるとした。施行後、5年をめどに法律を見直す規定も盛り込んだ。
 また各省庁に文書の保存期間やその後の取り扱いを「行政文書ファイル管理簿」に記載し、首相に年1回報告するよう義務付けた。外部有識者による「公文書管理委員会」を内閣府に設け、適切な文書管理に関する答申も受ける。歴史資料として貴重な公文書は原則、国立公文書館などに移管。国民が利用しやすいよう請求権を盛り込んだ。
 一方、文書を一元的に管理するためとして、民主党が主張していた公文書管理庁の設置は見送られた。廃棄の際の首相同意についても、具体的な方法は決まっておらず、判断基準や権限はあいまいになっている。公文書管理法は年金記録C型肝炎資料のずさんな保存実態を踏まえ、2008年当時に福田康夫首相が設置した有識者会議の報告がたたき台となった。

http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009062401000225.html

2009/06/24 10:35 【共同通信

中日新聞
【社説】

公文書法成立 霞が関の骨抜き許すな 2009年6月25日
 公文書管理を強化する新法は、閉鎖的体質に陥りがちな霞が関の改革の一歩といえる。役人には、国民共有の「財産」との意識改革をまず求めたい。具体策づくりでの「骨抜き」は許されない。
 公文書管理法が二十四日の参院本会議で、全会一致で可決、成立した。衆院段階で政府案の修正で与野党が合意した経緯があるが、不毛だとされてきた衆参ねじれ国会下で、与野党が一致点を見いだした姿勢は評価したい。
 法律の出発点は、年金記録の紛失や薬害肝炎の症例リスト放置など、政府の公文書管理のずさんさが相次ぎ露呈したことにある。
 公文書とは、行政機関が職務遂行の過程で作成する記録全般のことだ。現在さらには未来の国民への説明責任を果たしうるよう、管理や保存には厳格な指針があってしかるべきだろう。
 だが、実態は各省任せで、役所にとって「不都合な資料」は破棄されているのではないか、との疑念を少なからず抱かれてきた。法整備は遅すぎた印象だ。
 成立した管理法は、公文書の作成から廃棄・保存まで、各省統一のルールをつくるのが狙い。公文書を「国民共有の知的資源」と定義し、役所側の説明責任を明記した。修正合意で、政策決定過程を検証できる形での公文書作成を求め、文書廃棄には首相による同意が必要とした。
 首相判断の基準があいまいとはいえ、各省の裁量の余地を一定程度取り除いたのは妥当だろう。ただ、今後の課題も少なくない。
 行政の情報を透明化し、国民に提供する−。民主主義の大原則をうたった新法の精神を生かすも殺すも、霞が関の対応次第である。逃げ腰では意味がない。
 具体的なルールは有識者らでつくる「公文書管理委員会」の審議を経て作成されるという。この過程で役人にとって使い勝手のいいルールになることはないか。
 首相や閣僚に面従腹背で、こっそりと骨抜きを図る「霞が関の流儀」を、またしても見せつけられてはたまらない。しっかりと目を光らせるのが、そろって賛成した与野党の責務である。
 新法には「国民の主体的な利用」も明記された。公開原則の徹底が欠かせない。
 政権交代が頻繁にあれば、官僚はこれまで拒んできた、国民への必要な情報開示を迫られるのは当然だ。そのことを肝に銘じておくべきだろう。

http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2009062502000045.html
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